案件別原価管理システムとは
案件別原価管理システムとは、案件ごとに売上と関連する原価をひも付け、予定していた利益と実際の利益を確認する仕組みです。主に次の情報を管理します。
- 受注時の予定売上
- 見積時の予定原価
- 発注や外注によって発生した実際原価
- 追加受注や値引き
- 未確定の原価
- 予定粗利と実際粗利
案件途中の利益変化を確認し、原価の増加や計上漏れを早めに把握できる状態が重要です。
粗利管理・会計システムとの違い
関連する仕組みとの役割の違いを整理しておきます。
粗利管理は多様な単位で分析する
粗利管理システムは、会社全体・部門・顧客・商品などさまざまな単位で売上と原価を分析する仕組みです。案件別原価管理は商品仕入・送料・外注費などを集め、どの工程で利益が変わったかを確認します。
会計は決算・申告のための記録
会計システムは取引を会計基準や税務ルールに沿って記録し、決算や申告に必要な数字を作ります。案件別原価管理は見積や案件運営を改善するための業務管理です。業務上の案件利益と会計上の原価が常に同じになるとは限らず、原価の範囲・売上計上時期・税務上の取り扱いは税理士などへ確認します。
Excelによる案件別原価管理で起こりやすい問題
案件数が少なく原価項目も単純ならExcelでも管理できます。しかし売上・発注・仕入・外注などの情報が別々に存在すると、正確な集計を続けることが難しくなります。
原価情報が複数の場所に分散する
商品仕入は販売管理システム、運送費は請求書、外注費は別のExcelというように分かれている場合があります。案件利益を確認するたびに情報を集め、担当者へ聞き取る運用では集計に時間がかかります。
案件番号や名称が統一されていない
営業・発注・経理で異なる名称を使っていると、どの費用をどの案件へひも付けるか判断できません。顧客名だけでは複数の注文が混ざるため、共通の案件番号が必要です。
追加費用の反映が遅れる
納品条件の変更・追加作業・再配送などによる費用が、見積時の原価表へ反映されないことがあります。
予定原価と実際原価を比較しにくい
実際の仕入金額で予定原価を上書きすると、当初いくらを見込んでいたか分からなくなります。予定と実際を別々に残し、差額と理由を確認できなければ見積精度の改善につながりません。
計算方法が担当者によって異なる
送料を商品原価へ含める人と含めない人がいるなど、原価の範囲が統一されていないと案件同士を正しく比較できません。何を案件原価として管理するか、どの時点で確定するかを決める必要があります。
案件別に管理したい売上と原価
管理する項目は業務によって異なります。最初から細かくしすぎず、案件の採算判断に必要な情報へ絞ります。
売上に関する情報
当初の受注金額・追加受注・値引きや減額・最終的な売上金額・未確定の追加売上。仕様や数量が変わる場合は、当初受注と追加変更を分けて記録します。
商品仕入に関する情報
予定仕入単価と数量・実際の仕入単価と数量・仕入先・価格改定や値引き・返品や取消。発注明細を案件へひも付け、請求前の金額も未確定原価として把握します。
付帯費用と外注費
送料/運賃・搬入費・組立/設置/施工費・外注費・廃材処分費・現場で発生した追加費用。商品価格以外の費用は見積時に見落とされやすく、どの作業が仕入価格に含まれ何が別途必要かを整理します。
手戻りに伴う費用
誤発注による再手配・再配送・返品手数料・追加の外注作業・顧客へ請求できなかった費用。発生理由を分類し、確認項目や承認方法など仕組みで防げる原因を確認します。
予定原価と実際原価を分ける理由
見積時点ではすべての費用が確定しているとは限りません。概算の送料や外注費を使う場合もあり、受注後に条件が変わることもあります。そのため、案件別原価管理では予定原価と実際原価を上書きせず、両方を残します。
差額から原因を確認できる
予定粗利を下回った場合、仕入価格が見積時より上がった・数量や仕様が変更された・送料や搬入費を見落としていた・追加作業を顧客へ請求できなかった・誤発注や再配送が発生した、などの原因が考えられます。
案件途中で採算悪化に気づける
実際原価が登録されるたびに予定粗利との差を更新できれば、案件完了前に採算悪化へ気づけます。追加費用の相談や仕入条件の再確認を早期に検討できます(顧客への請求は契約内容と合意の確認が必要)。
担当者を責める数字にしない
予定と実際の差額には、担当者だけでは制御できない価格改定・物流事情・顧客都合の変更なども含まれます。数字を個人評価だけに使わず、原因を共有して見積や業務工程の改善に使います。
予定原価と実際原価を上書きせず両方を残し、差額と理由を確認して次の見積精度の改善につなげる
販売代理店での活用イメージ
例えば、オフィス家具代理店が机・椅子・収納庫の納品に加え、間仕切りの施工を含む案件を受注したとします。見積時には商品の仕入・運送・搬入・組立・施工の予定原価を登録します。受注後は各メーカーへの発注金額、運送会社や施工会社からの請求予定額を、共通の案件番号で集約します。
- 搬入日変更で車両の再手配が必要になれば、その追加費用も案件へ登録
- 顧客から追加商品を依頼されたら、追加売上と追加原価を分けて記録
- 完了時に見積時の予定粗利と実際粗利を比較
- 差額の原因を確認し、次回見積へ含めるべき費用や発注前に確認すべき条件を整理
完了時には予定粗利と実際粗利を比較し、差額の原因を次回の見積や発注前の確認条件へ生かします。
机・椅子・収納庫の納品と施工を含む案件で、仕入・運送・搬入・組立・施工の予定と実際の原価を案件番号で集約する
当社代表は、前職のオフィス家具代理店で営業を直接担当していたわけではありません。一方で、営業担当者の補助として現場へ同行し、業務改善アプリを作る際には見積・発注・納品などの業務をヒアリングしてきました。ここで紹介する内容は活用イメージです。
案件別原価を見える化する仕組み
見える化では、共通の案件番号→発注/外注費の集約→未確定と確定の区別→予定割れの通知→完了時の原価漏れ確認を整えます。
共通の案件番号で情報をつなぐ
見積・受注・発注・仕入・外注・請求で共通の案件番号を使います。手入力する場合は入力規則を設け、表記の揺れを防ぎます。
発注や外注費を案件へ集約する
発注時に案件番号を付け、商品仕入や外注費を自動または簡単な操作で集約します。会計システムなどから取り込む場合は、二重計上を防ぐためどのシステムを正しい情報源とするかを決めます。
未確定原価と確定原価を分ける
発注済みでも請求書が届いていない費用は未確定原価として管理し、請求書到着後に確定額へ更新します。未確定原価を無視して利益を確定すると、後から原価が増えて見えるため注意します。
予定を下回る案件を通知する
予定粗利を一定以上下回った案件や、未確定原価が長期間残る案件を一覧表示します。基準値は会社や案件で異なるため、一律に異常と判断せず確認のきっかけとして使います。
完了時に原価漏れを確認する
完了扱いにする前に、未納品・未請求・仕入請求待ち・外注費未確定が残っていないかを確認します。案件完了の条件を決め、原価が出そろう前に利益を確定することを防ぎます。
Excel・kintone・既存システムの使い分け
方法は、案件数・原価項目の多さ・更新する部署の数によって選びます。ツールを選ぶ前に、案件番号・原価として扱う項目・入力担当者・予定から確定へ切り替える時点を決めることが重要です。
案件数・原価項目が限られる場合
Excelの様式を統一することで管理できます。案件番号・予定原価・実際原価・未確定原価・差額理由などの列をそろえます。
複数部署の更新・自動集約が必要な場合
複数部署が原価情報を更新する、発注・外注データを自動集約したいならkintoneなどの業務アプリを検討できます。案件情報と各原価明細を関連付け、担当者別や利益状況別の一覧を作れます。(※kintoneはサイボウズ株式会社の登録商標です)
販売管理・会計に機能がある場合
案件別管理機能があれば先に確認します。新しい管理表を追加すると二重入力が増える可能性があり、既存データをどこまで活用できるかを検討します。
導入時の注意点
仕組みを作る際は、細かくしすぎない・入力担当者と時期・閲覧権限・会計処理との混同回避に注意します。
細かく管理しすぎない
すべての作業時間や共通経費を細かく案件へ配賦しようとすると入力負担が大きくなります。まずは商品仕入・送料・外注費など金額が大きく把握しやすい項目から始め、手間と判断材料のバランスを考えます。
原価の入力担当者と時期を決める
発注時・納品時・請求書受領時など、情報が分かるタイミングは項目によって異なります。誰が・いつ・予定額または確定額を入力するかを決め、同じ費用を複数の人が登録しないようにします。
閲覧権限を設定する
仕入価格・粗利・人件費などは機密性の高い情報です。担当者・管理者・経営者など役割に応じて閲覧・編集できる範囲を設定します。
会計上の処理と混同しない
業務改善のための案件利益と、会計・税務上の原価計算では対象範囲や計上時期が異なる場合があります。本記事は案件管理の考え方の説明で、具体的な処理は顧問税理士などへ確認してください。
相談先を選ぶポイント
案件別原価は見積・発注・仕入・外注とつながります。予定と実際を分けて差額の原因を追え、製品ありきで進めない支援先を選びましょう。
- 共通の案件番号で見積〜請求の情報をつなげるか
- 予定原価と実際原価を上書きせず差額の原因を追えるか
- 送料・搬入費・外注費・手戻り費用まで案件利益へ反映するか
- 未確定原価を残したまま利益を確定しない設計か
- 細かくしすぎず把握しやすい項目から始められるか
- 仕入価格・粗利など機密情報の権限管理に配慮するか
AI経営革新株式会社が対応できること
AI経営革新株式会社では、現在の見積・発注・仕入・外注管理を確認し、案件利益を把握できない原因を整理します。そのうえで、Excelの標準化・kintoneなどによる一元管理・既存システムの活用から、自社に合う方法をご提案します。共通の案件番号で売上と原価をひも付け、予定と実際の差を確認できる仕組みを設計します。
また、見積・価格管理・発注とデータをつなぎ、差額の原因を次の見積へ生かす運用も検討できます。
代表は前職のオフィス家具代理店で、営業担当者の補助として現場へ同行し、業務改善アプリを作る際に見積・発注・納品などの業務をヒアリングしてきました。これは前職での社内改革経験であり、AI経営革新株式会社として案件別原価管理システムを顧客企業へ導入した実績や成果を示すものではありません。
現在の見積・発注・仕入・外注管理を伺い、案件利益を把握できない原因と、共通番号でつなぐ仕組みを整理する
よくある質問
粗利管理は会社全体・部門・顧客・商品などさまざまな単位で売上と原価を分析します。案件別原価管理は案件ごとに仕入・送料・外注費などを集め、どの工程で利益が変わったかを確認する業務管理です。
実際の金額で予定を上書きすると、当初いくら見込んでいたかが分からなくなります。両方を残すことで差額と原因を確認でき、次の見積精度の改善につながります。
発注済みでも請求書が届いていない費用は未確定原価として管理し、請求書到着後に確定額へ更新します。未確定を無視して利益を確定すると、後から原価が増えて見えるため注意が必要です。
業務改善のための案件利益と、会計・税務上の原価計算は対象範囲や計上時期が異なる場合があります。原価の範囲・売上計上時期・税務上の取り扱いは顧問税理士などへ確認してください。
まとめ|予定と実際の差から次の見積を良くする
- 案件別原価管理は売上から仕入を引くだけでなく、仕入・送料・搬入・施工・外注・追加費用を案件ごとに集める仕組み
- 粗利管理(多様な単位の分析)・会計(決算/申告)とは役割が異なる
- 共通の案件番号で見積〜請求をつなぎ、予定原価と実際原価を上書きせず両方残す
- 未確定原価と確定原価を分け、未確定を残したまま利益を確定しない
- 差額の原因を共有し、担当者を責めずに次の見積・業務工程の改善へ使う
- 細かくしすぎず把握しやすい項目から。会計・税務は専門家へ確認する
案件別原価管理システムは、売上から仕入金額を差し引くだけの仕組みではありません。商品仕入・送料・搬入・施工・外注・追加費用を案件ごとに集め、見積時の予定と実際の差を確認する仕組みです。見積・発注・仕入・外注で共通の案件番号を使っているか・予定原価と実際原価を分けて確認できるか・送料や追加作業費が案件利益へ反映されているか・未確定原価を残したまま利益を確定していないか・差額の原因を次回の見積へ生かしているかを確認してみてください。私たちは、現在の見積・発注・仕入・外注管理を確認し、Excelの標準化・kintoneでの一元管理・既存システムの活用から自社に合う方法をご提案します。「売上は分かるが案件ごとの利益が分からない」「追加費用が粗利へ反映されていない」という場合は、無料相談をご利用ください。